9/12 かなり遠方から依頼の巻♪
かなり遠方のお客さまです。
今まで様々な細い靴、パターンオーダーなど苦労して来られました。
「痛くても履き続ければ馴染む」
「革を伸ばす調製をすれば大丈夫」
↑こんなん言うやつは絶対アカン(笑)
嘘吐くなやっ(゚Å゚)!!
アカン靴は足入れの瞬間からアカンと思って下さい。
骨の位置が間違ってるのに、設計図(ラスト)から間違ってる事を認められない「作り手の都合の押し付け」です。
靴職人なら足に合う靴を作って下さい。
「靴の形だけ作って自己満足」の「自称・靴職人」ばっかりで情けない。
とまぁ靴業界に失望して、もうスニーカーしか履けないのかもと諦めの境地に達しかけていたそうですが、当店の「足の骨の位置に合わせて靴を作り替える」技術に興味を持って頂き、ずいぶん前からご来店計画をされてたそうです。
コロナ禍も落ち着きつつあるので、お仕事のついでのタイミングでご来店される事に。
おいそれと来れる距離ではないので、滞在中に平面足形を取って、中底の作り替え、足に巻いて組み立てる、底縫いを掛けて組み立て!
突貫でやれる事は限られてますが、最善を尽くします。
事前にメールでご来店日時を相談の上、先に靴だけ送って頂きました。
この時点では、ご本人さまの足の形が判らんのですが・・・
こんなに細い靴に波打つシワの入り方。
相当に細いワイズの方です。
足の立体は現時点で判らんのですが、ワイズが細いのは間違いないので、とりあえず、足に合わせて作り替える為にバラして用意しときます。
エナメルのアッパーは高確率で下側が削られてます。
ツルツルのまんまやと接着剤が効かんので、メーカーさんが削るのは判らんでもないんですけど。
ペラペラになるまで削らんといて~(´Д`)
と言う訳で、折り返しのナイロンシートで延長、兼補強です。
と言ったところで明日は定休日ですが、特別に続く!
ほなー!(゜ロ゜)
9/13 ご本人さま登場の巻♪
一般的な細いワイズの方々の悩みに加えて、難度が上がるポイントが見えて来ました。
この方は少し外側に向いた中指につっかえ感が出てしまうようです。
捨て寸を大きめに取っても、足幅が細くて薄い為に結局突っ込んで履いてる状態に。
コレを解消するには、骨の位置が合った中底の上に乗った上で、アッパーの立体をご本人さまに合わせて吊り直して、心地好い圧迫で足が前に突っ込まんように靴を作り替えるしかないです。
お客さまの平面足形を取ったら、お昼ごはんをゆっくり目に食べに行って頂きました。
その間に中底を作り替えてます。
平面足形の上にクリアファイルを乗せて、骨の位置を見ながら、元の中底のカーブなどを反映させて描いていきます。
ここが「足に合った靴」の最重要ポイントです。
わたし個人の私見ですが、靴の土台は中底で、その形が間違いだとしたらアッパーがナンボ足に馴染もうと頑張っても無理です。
パターンオーダーで作ってアカン理由はここにあります。
採寸して、縦の寸法OK、ワイズOK!
じゃあこの既成ラストで靴を作りましょう!
↑コレがパターンオーダー。
足の立体を無視して、既成ラストで靴の形しか作ってないから痛くなるねん。
それでイケる、高評価を出してる人が居たとして、その人は「たまたまラスト(木型)の骨の位置が妥協ラインに収まってる人」やったんですよ。
ちょっとだけ骨の位置が間違ってるからって、別の木型用意してくれます?
「あなたの足にピッタリ合った靴をお作りします」
と謳いながら宮城興業に採寸データを出して作って貰ってる詐欺紛いのショップも多くあります(笑)
自分で作ってるテイが一番カッコ悪いんちゃうかな。
雰囲気ショップが間に入って無駄にお金取られるんやったら宮城興業で直接作って貰った方がエエがな。
こうやってバラバラにしたら中身のファイバー芯とかにサインしてあって宮城の靴や!って、すぐバレるのに(´Д`)
どこのショップとは書きません。
たった今から改めて、正直に誠実に商売しましょ。
余談ですが、この作業に使ってるクリアファイルはある方から大量に頂いたモノです。
大畑パーキングを宜しく!(笑)
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
9/14 中底を作り替えるの巻♪
ショルダー革に新しい中底の形を転写してます。
片方二枚、計四枚。
ショルダー革は体重と汗で足の形に馴染んで行きます。
ショルダー革は、へたりにくいけど、ゆくゆく汚れすぎたり、ガチガチに固くなったりしても交換がしやすいように、二枚重ねにしてます。
それと二枚重ねの、もう一つのメリットは下の中底にだけ底縫いを掛けて、上に一枚乗せた状態になるんで、底縫い糸が保護出来ます。
上だけ替えられたら、いちいち分解せんで済みますし ( ´∀`)
削る時は四枚付き合わせて貼ったまんま削ります♪
左右でメチャメチャ形が違う方は片方ずつやることもあります。
つま先周辺、踏まず部分が薄く漉かれたところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
9/15 中底を仕上げるの巻♪
後ろ半分をしっかり支える部品は、このように移植して仕上げておきます。
中底が出来上がって、ランチから帰って来られたら、さぁ頑張るで~!
しかし、中指のつっかえ感を解消するのに、なかなかに手こずってしまいました。
当初、アッパー下の延長部分は隠せるかな?
と思ってましたが・・・
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
9/16 中底の手直しの巻♪
足に巻いて組み立てる際に、アッパーの取り回しを工夫しても限界が。
どうしても中指につっかえ感が出るので、思いきって中底の形から、再びやり直す事に。
足も靴も立体なんで、その差の見切りが甘いと上手く行かん事もあります。
近所の方なら、日にちを改めて仕切り直しって事はたまにあります。
しかし!滞在中の、この日のうちに足に合わさんとイカンので、即作り直し!
荒裁ちしたのが左側です。
重ねてみると、よー判るでしょ?
一発で決められず、力不足で申し訳ないです。
(´Д`)
ホンマもんの靴職人やったら、木型からやり直しのゾッとするやつなんかも(笑)
ここは足に巻いて組み立てると言う現物合わせのメリットと言えるかも知れません。
この工程は、ご本人さまの足が中でどうなってるのか、とてもよく判ります。
結局、昼過ぎから始めた工程は、夕方の18時以降になってしもてたかと思います。
大変、お疲れ様でした!
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
9/17 底縫いを掛けるの巻♪
サイズ合わせ終了後、合い底を作ります♪
次の日の朝に縫いに行くで~( ´∀`)
同業さまにはお馴染みの底縫い職人、山林さんです。
大体、「かわごし」を朝の6時40分に出ると、山林さんとこに8時前ぐらいには着けます。
このように、一周縫うてあります♪
そもそも、ご依頼のお客さまによると、メーカーはボロネーゼ製法と表記してたらしいんですけど、嘘ばっかり(笑)
単なるマッケイにも出来る構造のセメント製法でした。
嘘吐くなやっ(゚Å゚)!!
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
9/18 本底を付けるの巻♪
クッション層となるミッドソールです。
セロライトを薄く加工してもろた特別な材料です。
たまに昴で頼んでます♪
漉き割りは革だけではないんですよ。
接地面にハーフソールとディックリフトを貼り付ける場所にプライマーN-100にグルーヴースターを添加したやつを塗ってます。
グルーヴースターを7000+に直接混ぜるより扱いやすい方法です。
昴の高田さんが教えてくれたやり方なので、多分オフィシャルな隠し技です(笑)
と言ったところで明日は最終回♪
ほなー!(゜ロ゜)
9/19 完成♪
底縫いの時に外しておいた二重式の中底を戻します♪
「9/14 中底を作り替えるの巻♪」で言うてたやつです。
こうしとくと底縫い糸が切れにくいし、交換も簡単です♪
ハイ完成♪
ご本人さま滞在中にどうにか出来上がりました。
足入れの瞬間からあった痛みもなく、指も当たらんようになったみたいでホッとしました。
あぁ良かった(´Д`)
ワイズ周辺は絞らんとアカンかったんですけど、つま先の下側はどうしても革が足りませんでした。
今回はトゥを作り直す時間が無かったんですが、ゆくゆく手直ししたいなぁと思ってます。
遠いところ、ご来店ありがとうございました!
「足に合わせて靴を作り替える♪」
連載終了です♪
ほなー!(゜ロ゜)