10/11 パチッて言うた?
中古で買った靴だそうです。
屈伸時にパチッて音がしたら矢印のところにクラックが出来てしもたそうです。
あと、その後ろの銀ペンでマーキングした辺りに張り感があって窮屈に感じるようです。
こちらも銀ペンでマーキングした辺りに張り感があるそうです。
しかし、この症状では革の劣化が進んでる可能性が高いので伸ばしたりはやらん方がエエと思います。
では、どうするか?
マイナスドライバーをこの部分に差し込んで、そーっと中底を捲ってみます。
リブテープ式でウェルトが掬い縫いされてる構造であれば、大掛かりな分解無しで中底だけ捲る事が可能です。
このように、チラッとリブテープが見えたらOK。
作業は大変ですけど、剥がせます。
中底を剥がして引きずり出したら指の部分の裏側を削って容積を確保します♪
と言う無茶苦茶なように見えて、実はアッパーには優しいやり方です。
古い靴に対して器具で伸ばすとか言語道断ですよ!
絶対にアカンで~!
ちなみにハンドソーンとかの土手を切ってキチンと作ってある靴には通用せん技です。
こんな事しても、ビクともしません(笑)
あと、例えばジャランさんの靴のように斜めに中底の裏を切って掬ってある靴なんぞは切ってある深さの個体差もあるし、基本的に弱いんで、こんなんしたら中底が破れてしまう可能性もあります。
この方法で調べるにしても、まずは世の中の靴の中身を知り尽くしてる事が前提です。
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
10/12 指の容積を確保するの巻♪
コレは割りと力任せな作業かも知れません。
前の方は工具を差し込みにくいんで、最終的には指の力がメチャメチャ要ります。
わたしのようにオッサンになっても、指の力を過信してムチャを続けるとCM関節症やら、いつもどっかの指が痛い!ってなってしまうとイカンので無理はせん方がエエと思います。
キチンと道具や工具は使いましょう!
軟骨や靭帯は大事(笑)
中底の裏側です。
ぶらーんと靴の本体がぶら下がったまんま指先部分だけを削ぎ落とすのは、ちょっとコツが要ります。
中底のかかと周辺の釘を外す時にダメージが少なそうであれば完全に外した方が無難です。
元々、分厚い中底ならギリギリまで削ぎ落とすと指先の空間はかなり確保出来ます。
ある程度指先部分を切って削ぎ落としたら、サッと仕上げ機で全体を削って揃えます。
最初から仕上げ機でやったらエエやんってなりそうですけど、 分厚くて脂の多い中底の革を全部仕上げ機で削ると作業中の摩擦熱で中底が硬く変質したりするので、こういう手順です。
ホールドに関わる部分はそのまんまで良い感じやったんで、足が前に突っ込まずに指先の空間だけが空けば窮屈感は解消されます♪
あとはご本人さまの足に合わせてみて微調整します。
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
10/13 クラックを修復するの巻♪
やっと本題のクラック修復です。
まずはベーストリートメント(アセトン)で脱脂します。
この工程で、ついでに古い靴クリームも落ちます。
脱脂したら、クラックの内側にグルーブースターをホンの少し垂らします。
本来は革や塩ビなどのプライマーN300の柔軟で強靭な皮膜をクラックの谷の部分に埋めて固めて行き修復します。
クラックが深いと、一発で埋まる事は無いので、乾いてシンナー分が蒸発して「引けたら」、また塗りつけて、乾かして、を繰り返します。
大事なのはクラックの「中にだけ」N300を入れると言う事です。
周囲にはみ出した部分は綿棒に染み込ませたMシンナーで溶かしながらギリギリのところで取り去ります。
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
10/14 完成♪
クラックの周囲は注意深く押さえつつ、着いてしまった余分なN300の皮膜を取り去りながら仕上げて行きます。
フチは一体化させるようにギューッと擦り付ける感じです。
割れ目の中だけに硬化したN300が埋まったら、それだけで深いシワのように見えて、結構判らんようになります♪
ハイ完成♪
その1と比べてみよう♪
「靴のクラックを修復する♪」
連載終了です♪
ほなー!(゜ロ゜)