10/18 中底まで割れてます!の巻♪
結構、派手に割れてます。
このように、靴底の側面にまで割れが広がってるやつは高確率で中底まで割れてます。
おまけに底縫い糸も切れてます。
高いで高いでぇ~(笑)
早速バラすと底に縫い目が有るのに、中敷きを捲ると中底に貫通してない!
飾り縫いです。
マッケイ縫いが掛かってるような外観で、セメント製法・・・縫うて無いやん。
何の見栄やねん(゚Å゚)!!
コレって、良くあるパターンなんですけど、結局飾り縫い入れる手間掛けてるんやし、ホンマに縫うたらエエのにっていつも思います。
見た目に騙されたらアカンで~
で、やっぱり中底は見ての通り、紙で出来てるやつで割れてます。
と言う訳で中底も底もキッチリ作り替えて、ちゃんと縫います。
今回はセメント製法の靴をブラックラピド製法に作り替えます♪
そもそも、ブラックラピド製法って何やねん?
と言う構造が勉強出来てしまう連載です。
まずはサクッと紙の中底をショルダー革で作り替えます♪
材料に使うショルダー革はイギリスのエエ靴の中底とかに使われてる牛の肩の革です。
素材自体の繊維が強くて、汗を良く吸うてくれますので、コレだけで快適さアップです。
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
10/19 底縫いの準備の巻♪
中底の後ろ半分に付いてるファイバー芯です。
コレにはシャンクと呼ばれる「靴の背骨」にあたる部品が取り付けられてるんですけど、多くは割りとエエ加減に片側しか留めとらんので、たまに脱落してるやつがあります。
と言う訳で、矢印のところにカシメを付けてガッチリ留めてます。
出来上がった新しい中底をアッパーに戻して貼り付けたら、合い底を貼り付けます。
同じ大きさで作った本底は、この時点で剥がして底縫いに持っていきます♪
納期と予算の都合でマッケイ、出し縫いの二種類の底縫いを一回のチャンスで済ませます(笑)
ブラックラピド製法とは?
ブラックラピド製法は張り出しが大きめの合い底をアッパーと縫い付けて、その下に本底を貼り付けて、ウェルト代わりに作られた張り出し部品に出し縫いを掛けます。
簡単にはマッケイ製法のしなやかさと、出し縫いのグッドイヤー製法のエエとこ取りって感じです。
底縫い糸が地面に露出しないので、防水性能はマッケイ製法より上、グッドイヤーウェルト製法のウェルトの取り付けよりは簡素な作りなんで、それには劣るとは言え、優秀な構造やと思います。
「かわごし」を朝の6時40分頃出ると、混み具合にもよりますけど底縫い屋さんの山林さんの開店前ぐらいに着きます。
まず、マッケイ縫いを掛けて貰ってから本底を貼り付けるんで、ちょうど良く乾くぐらいのタイミングで7000+を塗り付けてます♪
車の中でボンドを塗ると普段より、めっさ臭く感じます(笑)
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
10/20 マッケイ縫いを掛けるの巻♪
まずはマッケイ縫いを掛けていただきました。
山林さんはアリアン縫いと言うてはります。
縫い上がった合い底に7000+を塗り付けて、程よく乾かして本底を貼り付けます♪
合い底には太い針が刺さるので、少し寸法に誤差は出ます。
このズレが致命的にならんように上手く貼らんとアカンのですよ。
空いた穴の分、均一にハミ出させるつもりで!
予め用意しといた本底には、出し縫いの溝彫りも6ミリ幅で入れてあります。
山林さんはこの溝を「殆どパーフェクトに」拾ってくれます。
ズレるとしたら、こっちの底の作り方が悪いのでコツを聞いたりして、駆け出しの頃には何回かやり直したりもしました。
山林さんは郵送でも対応を沢山されてますが、新人の方は現場で縫うていただいた方が勉強になりますので是非!
この工程、ホンマは本底を貼り付けて、周囲をサッと仕上げてから溝彫りをやるのが正しい手順です。
山林さんの混み具合がメチャメチャな時、入り口付近が荷物の段ボールで一杯の時やと大変邪魔になると思います。
そう言う理由で、同業さまにはあんまりオススメしません(笑)
でも、悩ましい。
二回に分けるとコストも時間も掛かるし。
うーん(´Д`)
次に、この張り出し部分に出し縫いが掛けられる訳です。
こんな感じで、ブラックラピド製法に作り替えるんって、こうやるんや!
みたいな流れが判るかと思います。
コレは、あくまで一例。
合い底の張り出し部品の上にホンマにウェルトを作ったりしてボリューム出したり、色んなやり方があります。
それはさすがに一旦持ち帰って、落ち着いてやらせて下さい(笑)
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
10/21 出し縫いを掛けるの巻♪
本底に出し縫いが掛けられてるとこです。
このように、逆さまの状態で張り出しが引っ掛けられるようにして縫われて行きます。
溝彫りの溝を外さんように。
いやー凄いなぁ(´Д`)
このように縫い目が入ると、急にウェルトっぽくなったでしょ?
元々は単なる板やのに。
大袈裟かも知れんけど、縫い目の醸し出す機能美には感動すら覚えます。
山林さんあっての我々でございます♪
そりゃ偽物の「縫うてます風」の表現が出てくるわな(笑)
この角度から見ると、側面に少しだけズレがあるの判りますか?
コレは後で仕上げ機でサッと均します♪
と言う訳で、無事縫い上がりました!
夜中遅くまで仕事して、朝早く起きて底縫いに行くと、当然眠いです(笑)
ウトウトして事故ったらエライ事ですわ。
それをシャキッとさせてくれる必需品は、このTHERMOSで持っていってるコーヒーです。
「かわごし」は過去にお客さまに出していた自家焙煎のコーヒーで取材が来て、新聞やテレビにも出たことがあります。
そんな訳で持っていってるのは当然、煎りたて、挽きたて、淹れたてのやつです。
ちなみに「かわごし」の在庫の豆は全てスペシャルティコーヒーです。
美味いし、シャキッとするし、底縫い、仕入れの時の楽しみの1つなんですよね~♪
このような、デカめのカップで、たっぷり持っていってるんで、蓋をしとくと底縫いが上がった後でも温かいです。
この日はモカの中煎りです。
最近は色々としんどすぎて焙煎をサボりがちやったんですけど、オーブンの110℃で2時間ほっといて、仕上げに直火で1ハゼのとこまで炙る方法を編み出してホンマに楽チンになりました。
コーヒー豆焙煎の詳しいやり方を知りたい方はお気軽にお尋ね下さい♪
気付いたら、焙煎歴30年超えてますわ~
と、余談に花を咲かせたところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
10/22 その他の部品を組み立てるの巻♪
元の底からヒールベースを取り外します。
この時、グズグズに弱ってたりしたら作り替えるんですけど、コレは品質的にもしっかりしてて大丈夫でした♪
先ほど外したヒールベースをサッと削って整えて、ビブラムディックリフトの接着面を荒らしときます。
あとはハーフソール部分に貼り付ける、当店ではイチオシのお馴染み材料、クロコシートを用意したとこです。
あとは組み立てるだけ( ´∀`)
ヒールベースにディックリフトを貼り付けたとこです。
こうやって合わせて見ると、内側がちょっと傷んでるんでどうにかします♪
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
10/23 ヒールベースをキレイにするの巻♪
良くあるデザインですが、ヒールベース内側の傷んでる部分を斜めに揃えました♪
このように仕上げとくと、今後、段差などに引っ掛けにくいと言うメリットもあります。
革用のコバインキで着色してあります♪
乾いたら、あとで仕上げのしにくいアゴ部分にワックス掛けしときます。
ハーフソール代わりのクロコシートを貼って、念のため、横から高さを見ておきます。
前の厚みとヒールの傾斜に違和感は無さそうなのでこのまんま固定します♪
と言ったところで明日に続く♪
ほなー!(゜ロ゜)
10/24 完成♪
組み上げて着色したヒールベースをステンレスのビスで固定します♪
一般的に同径の釘類とビス類を比較すると、釘類よりビス類は5倍程の保持力があるそうです。
ビスで固定しとくと、分解する時も逆回転で外せて、修理向きです。
固定してる素材を傷めないので大変重宝してます。
元の中敷きのデザインはカッコエエんですけど、残念ながら合皮なんで、ご本人さまのご希望により革で作り替えます♪
ちょっと惜しい気もするけど(笑)
革の中敷きの下に、歩行時の衝撃を和らげるクッション材を貼り付けてます♪
このクッション材はオリンピック選手などのミッドソール、インソールなどを作ってる藤原化工の製品です。
沈み過ぎてフィット感を損なう事なく、程よく反発してくれますので疲れにくいです。
ハイ完成♪
このように、セメント製法の靴がブラックラピド製法に生まれ変わりました♪
お気に入りの靴ならブラックラピド製法に作り替えると遥かに寿命が延びますのでオススメです♪
実はコレ、お客さまの旅行日程の都合で、お持ち込みから約24時間で完成させました。
たまたま色んな進行のタイミングが良かっただけですが(笑)
「ブラックラピド製法って何やねん?」
連載終了です♪
ほなー!(゜ロ゜)